2011/3/4 札幌地裁和解協議についての声明
2011年3月4日
B型肝炎訴訟・第15回和解協議の進行について
全国B型肝炎訴訟原告団
全国B型肝炎訴訟弁護団
1 本日、札幌地方裁判所において、第15回和解協議が行われた。
前回の和解協議では、慢性肝炎の発症から20年が経過した被害者の救済問題について、国は除斥期間の経過を理由に法的請求権の消滅を主張し、その救済を否定している。これに対し、原告団・弁護団として再考を求めていた。しかし、今回の和解協議においても、国は、譲歩の姿勢を見せようとせず、なお、被害者の切り捨てを図っている。
しかし、慢性肝炎の発症から20年以上が経過した被害者こそ、長期間にわたって肝炎被害を被ってきたのであり、その救済の必要性が他の慢性肝炎患者に勝るものであることは論を待たない。裁判所からの基本合意案の受け容れを決断したのは、肝炎患者全員の一律救済を前提としていたのであり、このような一部の被害者の切り捨てを図る内容について承諾することはできない。
2 次に、2次感染者の救済要件について、国から「二次感染者の取扱について」との書面が出された。
これによれば、国は、2次感染者であることについて、原告側に、原則的として、B型肝炎ウイルスの「塩基配列」の検査を行ってウイルスの同一性を証明することを求めている。
しかし、この「塩基配列」の検査は、一般的なものではない。感染被害者が容易に行なうことができる検査でもなく、かつ、ウイルスの同一性判定の正確性についても大いに疑問があるものである。私たちは、今回の国の提案について検討は行うが、基本的には、母親が持続感染者であれば、特に反証がされない限り、2次感染の立証には十分であると考えている。
3 以上の経過であったが、基本合意の締結には、なお克服されるべき課題があり、特に発症後20年経過被害者の救済方法について、なお大きな隔たりがあるところである。
国は、加害者としての責任を自覚し、感染被害者の全員の救済の方向に早急に政治決断を行い、基本合意締結の条件を整えるべきである。
今後、3月10日、3月18日と和解協議期日が設定されているが、私たちは、あくまでも、この期日において、すべての被害者が等しく救済される和解が実現されるよう、なお、最大限の努力を続ける所存である。
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