平成29年度肝炎対策予算案について

2017.2.7 院内集会
平成29年2月7日、国会の議員会館で開かれた原告団/弁護団の集会

現在、国の平成29年度予算案が通常国会において審議されています。
厚生労働省が所管する予算のうち、肝炎対策関連として153億円が計上されていますが、その概略をお伝えするとともに、私たち全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団のとりくみをご紹介します。
(※3月17日執筆時点の内容です)

1、抗ウイルス療法への医療費助成 70億円

B型・C型肝炎のインターフェロン治療、インターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤治療の患者自己負担を軽減する制度で、B型・C型肝炎患者の長年の運動の成果としてかち取ってきました。近年、C型では次々と画期的な経口新薬の普及が進んでいますが、いずれもこの助成対象となっており、肝炎患者の負担軽減にとって欠かせない制度として引き続き重要です。

2、肝炎患者の定期検査費用助成 11億円

上記1の抗ウイルス療法を受けられない肝炎患者を対象に、年2回までの定期検査費用の助成を行う制度です。私たちの国会請願署名や厚生労働大臣との定期協議を通じて3年前から実現し、その後も適用対象などの拡充が図られてきました。平成29年度予算案でも、昨年の私たちから厚労大臣への要求を受けて、患者自己負担額が慢性肝炎で3000円から2000円に、肝硬変・肝がんで6000円から3000円に軽減されることになりました。

3、B型肝炎の画期的新薬等の研究開発 37億円

B型肝炎訴訟の6年前の「基本合意」をむすんだ時に、当時の菅直人首相がB型肝炎根治薬の研究開発を原告団に約束したことからはじまった研究開発事業で、現在はAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)を中心に、B型肝炎ウイルスを排除する画期的創薬や、肝硬変治療の新薬研究が進んでいます。昨年採択された国会請願署名の請願項目であり、B型肝炎患者にとって最も大切な課題として今後も予算確保のための活動が大切です。

4、肝炎ウイルス検査の促進など 35億円

 これらのほか、肝炎ウイルス検査体制の確保(市町村健康増進事業での41歳以上の個別勧奨の拡充、職域での検査促進など)、肝疾患診療地域連携体制の強化(肝炎医療コーディネーターの養成など)、国民に対する正しい知識の普及(知って肝炎プロジェクトなど)といった諸課題に予算措置がなされています。

 全ての肝炎患者が安心して生活できる社会の実現を目指して、しっかりとした国の肝炎対策予算を確保できるよう、これからもとりくみを強めていきましょう。

(東京弁護団・弁護士 小沢年樹)